太陽光発電

新潟の太陽光発電の体験記。発電量や収益、冬の状況を報告

nobux969

年々上がる電気代の明細書を見て、太陽光発電を考えている方も多いでしょう。業者の見積もりなどは、「こんなにお得!」なんて書いてあるけど、実際のところどうなの?と気になるでしょう。

新潟で新築時にソーラーパネルを載せて7年、電気自動車も併用して7年の我が家の発電や収支の状況をお伝えします。

目次

現在までの発電量と売電金額

累積発電量と累積売電金額

2024年5月末現在

太陽光パネル6.6kWの設置で

積算発電量:43638kWh

我が家は2016年度のFITの売電価格 33円/kWh が適応されるので

売電収益:33×43,000kWh=1,419,000円

この数字は新築時太陽光パネルを設置してから、現在までにどれくらいの電気を発電したか、を表す数字です。

月毎の発電量と売電金額

売電電力量(kWh)売電電力量(kWh)
2024年6月
2024年5月712kWh23,496円
2024年4月633kWh20,889円
2024年3月326kWh10,758円
2024年2月273kWh9,009円
2024年1月206kWh6,798円
2023年12月172kWh5,676円
2023年11月364kWh12,012円
2023年10月491kWh16,203円
2023年9月567kWh18,771円
2023年8月782kWh25,806円
2023年7月582kWh19,206円
2023年6月593kWh19,569円
2023年5月834kWh27,522円
2023年4月679kWh22,407円
2023年3月568kWh18,744円
2023年2月212kWh6,996円
2023年1月190kWh6,270円
2022年12月149kWh4,917円
2022年11月441kWh14,553円
2022年10月373kWh12,309円
2022年9月534kWh17,622円
2022年8月595kWh19,635円
2022年7月661kWh21,813円
2022年6月689kWh22,737円
太陽光発電の売電量と売電金額の推移

新潟の発電量は他地域と比べて少ないのか?

新潟県の人は冬の曇天で日照が少ないことをよく知っています。

だから、なんとなく、「新潟なんかで太陽光発電しても損でしょ。」と思いがちです。

実際はどうなのでしょうか。実は発電量だけを比べると、

  • 発電量が大きく下がるのは12月から2月までの3ヶ月間しかない。
  • 春から夏にかけての日照量は全国平均よりも多い

という実態があって、関東より1割少ないかどうかというレベルだったりします。

特に4-5月の売電量がもっとも多く、6.6kWhで700kWhを超えてきます。これはわが家(オール電化)の冬以外の月の使用電気量を余裕でカバーする発電量です。

もちろん、ある程度の節電や工夫は必要ではありますが、少なくとも「新潟だから太陽光パネルを乗せるのは無駄」と考えなくてもいいと思います。

現に、新潟でも大規模な太陽光発電施設や、屋根に太陽光パネルを載せているご家庭はそれなりにあります。

結局、太陽光を設置して特だったのか?

もっとも知りたいと思う人が多いのが、「太陽光発電を設置して特だったのか?」という結果だと思います。最初に結論です。

  • 太陽光発電を屋根に乗せたからといって、投資額に対して、「すごく儲かる」ということはない。
  • 設置コストにもよるが、10年でギリギリペイできるかどうかというところ。
  • 結果的に購入電力が削減できた分まで含めるとトントンか若干お得になる可能性はある。

少し長くなりますが、我が家の事例を使って、太陽光発電で経済的に特だったのか?を考えてみます。

太陽光システムの設置コストと収益を計算

太陽光システム設置時のコスト

2017年の新築時の太陽光関係の費用

  1. パナソニックソーラー発電システム 2,553500円
  2. 売電用メーター費用 22,100円
  3. パワコンレス -238,900円
  4. ソーラー発電自立運転用ダブルコンセント 8,700円
  5. AiSEG 36,300円
  6. 創蓄連携システム(蓄電池5.6kWh付き)  863,300円

合計:3,245,000円

蓄電池が入っているので、かなり高くなっています。

AiSEGなどは個人的には不要なのですが、ZEHの申請のために必要だったで計上されています。

Panasonicは蓄電池と太陽光でシームレスに連携するために、「創蓄連携システム」という特殊なパワコンを使用します。

そのため、一般用のパワコン分を差し引いて(3)、創蓄連携システム(6)を足しています。

実際に「太陽光発電システム」で必要なのは1と2だけです。そうすると257.5万円。

Panasonicのソーラーパネルは発電効率はいいですが、高いです。

減税分を差し引き

実際には、新築で組み込んでいるので、住宅ローン減税が効いて、1%分×10年の減税があるので、

257.5万円×0.99×0.99×…≒231万円

となるので、実際の支払い分は231万円ほどです。

設置コストのkW単価

太陽光発電システムは設置するソーラーパネルの枚数がそれぞれ異なります。また、設置する枚数に応じて、出力に応じたパワコンの選択が必要です。

そのため、「パネル1枚でいくら」ではなく、「出力の1kWあたりでいくら」という比較のしかたをします。

231万円÷6.6kW=35万円/kW

経済産業省のHPで、2016年度での太陽光発電の設置コストを調べると、およそ30万円/kWです(2016年末に住宅の価格が決定、着工しているため、価格は2016年度のものと比較)。

資源エネルギー庁 太陽光発電について 2021年12月

この30万円/kWはPanasonic以外の安いパネルメーカーも含んだ平均値です。

Panasonicのシステムのためか、17%ほど割高という結果でした。

ちなみに、パナソニックのパネルは熱に強くて真夏の発電量の落ち込みが少ないこと、曇りでも発電量が比較的多いという特徴があります。

設置コストの回収見通し

設置費用を売電10年で回収できるのか?

7年ほど稼働していて、明細を見ると、1年あたりの売却利益は約19~20万円ほどでほぼ一定です。

うちは家庭用の余剰電力分のみ売電なので、残りの売電期間は2年9ヶ月。現状142万円を売電で稼ぎました。

このペースであれば、ほぼ10年で195万円の売電利益というところに落ち着くでしょう。

231万円で設置して、10年間で195万円の売電利益

あれ?元が取れない…

と思いますか?

その通りです。

太陽光発電は売電は大きな収益ですが、売電金額と設置費用だけを比べるとトントンがいいところなのではないかと思います。

相当安く設置しないと売電金額だけでペイするのは難しいでしょう。

仮に、コストの安い太陽光パネルを選び、2割安く 28万円/kWで2016年度内に設置できたと仮定します。

その場合、約185万円で設置して、195万円の売電利益を得られることになり、若干プラスにになった可能性があります。

コストを抑えるほど回収期間は早くなりますが、発電の性能が落ちる可能性もあるのでバランスが難しいところです。

10年間の売電金額だけで太陽光システムをペイするのは難しい

もちろん、パネルをもっとたくさん載せれば単価は下がるので、ペイする可能性はありますが、「家庭用10kW未満の余剰売電で大きく儲ける」というのは無理です。

忘れてはいけない「自家消費」の経済メリット

売電金額だけではペイするのは難しいとわかりました。

しかし、太陽光発電には、「自家消費」という隠れたメリットがあります。

太陽光パネルを屋根に乗せる際、多くの場合は10kW未満の出力になります。

10kW未満の出力の場合には、発電した電力をまずは自宅で使って、残った分を売電する、という流れになっています。

この仕組みを「余剰電力買取り」と言います。

一方で、10kW以上の出力の場合、発電した全量を売電することができます(全量買取り)。

自家消費分の電力を正確に把握するのは我が家の環境ではできませんが、自家消費している電力を推測してみます。

この自家消費分がどれくらいの経済メリットがあったかで、より設置コストの回収率が高まるはずです。

自家消費を推測してみる

以下の使用電力のうち、日の出から日没までの間に使用しているものが自家消費されていることになります。

  1. 自宅を出発するまで充電している電気自動車(日産LEAF)
  2. 朝食準備や身支度に使用する電力
    • トースター
    • IHコンロ
    • 電子レンジ
    • ドライヤー
    • 掃除機
    • スマホやタブレットの充電
  3. 土日・祝日・子供の夏休みなど日中の居宅時に使用する電力
    • エアコン・扇風機
    • テレビ・PC・ゲーム機
    • IHコンロ
    • 電子レンジ
  4. 24時間稼働している家電
    • 冷蔵庫
    • インターネット機器(Wi-fiルーター、光回線ONU、ハブなど)
    • トイレの暖房便座・ウォッシュレットの温水
    • テレビ、レコーダーなどのスタンバイ電力
    • 人感センサー付きライトの待機電力
  5. その他待機電力

(1)自宅を出発するまで充電している電気自動車(日産LEAF)

あまり使うことはないのですが、3kWの消費電力を考えると大きな自家消費です。

(2)朝食準備や身支度に使用する電力

ほぼ毎日発生する自家消費です。太陽光発電は春から夏くらいまでは午前6時台から発電が始まります。

したがって、朝食準備や身支度で使用している電力は、購入した電力ではなく、発電した電力で、晴れていれば電気代は0円です。

(3)土日・祝日・子供の夏休みなど日中の居宅時に使用する電力

子供が小学校にあがってから増える電力です。これも、太陽が出ている暑い時間帯は、ほぼ自家消費で賄えています。

(4)24時間稼働している家電 (5)その他待機電力

これがなかなか大きいです。

家全体で見ると0.1~0.3kWくらいのようですが、24時間、365日稼働ということで大きい消費電力になります。

常時使用する電力が100W(0.1kW)としても、年間では876kWhとなり、オール電化家庭の冬1ヶ月分に相当します。

ざっくりですが、

  • 無線LANルーター
  • ハブ
  • 10G光回線ONU

のネットワーク機器で30W(0.03kW)ほどなので、年間で262kWh

冷蔵庫(panasonic NR-F552PV 551Lタイプ)は、年間の消費電力が296kWh(カタログ値)

暖房便座がPanasonic製で年間 99kWh×2台 (カタログ値)

これだけで、年間で700~800kWh程度の電力量になります。

実際にはさらに、エコキュート、レコーダーやテレビ、エアコンなどの待機電力もあるのでもっと増えます。

太陽が出ている時間帯はこの常時消費されている電力が太陽光から賄われます。

新潟県の日照時間は年間1944時間(気象庁HPより)なので、24時間×365日=8760時間のうち1/5程度は太陽光発電分を自家消費することで賄えます。

つまり、年間150~160kWh程度電気を自家消費している(タダで電気を使えている)ことになります。

自家消費の威力をビジュアルで確認

はっきりとした数値を出しづらい自家消費ですが、同じ時期の晴れの日、雨の日を比べると自家消費がどれくらいなのか推し量ることができます。

例として、2024年4月9日と2024年4月10日を比べてみます。

気象庁のHPより新潟市の天気のデータです。

  • 2024年4月9日 青いグラフ
    • 日照時間:0時間
    • 日の出:5時17分
    • 天気:雨のちくもり
    • 降水量:32.5mm
    • 最低気温:6.5度
    • 最高気温:13.3度
    • 平均気温:9.4度
  • 2024年4月10日 オレンジのグラフ
    • 日照時間:12.1時間
    • 日の出:5時16分
    • 天気:晴れ
    • 降水量:0mm
    • 最低気温:4.2度
    • 最高気温:11.3度
    • 平均気温:8.1

このグラフからわかるのは、太陽が出ているときには自家消費をして、電力会社から購入する電力量が大きく抑えられているということです。

午前6時から午前7時半までの朝の電力使用ピークにおいて

晴れ(4月10日)と雨4月10日)ではこの時間帯に購入電気量に大きな差が出ています。

また、日中の在宅していない時間を見ると雨の日はわずかに電気を購入していますが、晴れの日は日中の購入電力量がほぼ0です。

つまり、発電すれば自家消費で1日あたり数kWh程度は自家消費し、売電には回っていないけど得をしていることになります。

年間で平均して1日あたり、1kWhの自家消費をしたとすると、年間で360kWh、10年で3600kWhが自家消費で払わなくて済んだ電気代となります。

1kWhあたりの電気料金を30円とすれば、10年間で、108,000円分の節電効果があったことになります。

当然電気代がもっとあがればもっと大きな経済的メリットがあります。

231万円で設置して、

195万円を売電で回収

11万円を節電

回収金額は206万円

売電に加えて、自家消費による節電分まで勘定して、206万円まで回収できました。

太陽光システムに投資した90%分を回収できたことになります。

やはり、我が家は10年での回収は少し厳しいようです。

結論:売電+自家消費でトントンか

ここまで検討すると、太陽光システムは設置すれば儲かる、というものではないということがわかると思います。

九州地方など、新潟に比べて2割近く日照時間が長い地域であれば売電収入だけでペイする可能性はありますが、新潟では厳しい印象です。

ざっくりですが、10年で売電と自家消費分を合わせてトントンくらいに考えるのが無難です。

我が家では、太陽光システムの投資回収は11年くらいになりそうですが、「損をしたなぁ」とは思っていないです。

電気代がどんどん上昇する中、円安や、燃料費調整費によっては、50円/kWという状況もあり得ます。

電気代高騰の中でも、特に設備費を改修後は「太陽が出ている時は電気代を気にせずに電気を使える」という状況が手に入るわけです。

蓄電池もしくは、EVと連携させれば電気代がほぼ0という状況も目指せますし、災害対策にもなります。

そう考えると、設置費用は高いですが、設置してよかったなと思います。

我が家のスペック

  • パナホーム(現:パナソニックホームズ)カサート
  • オール電化
  • ソーラーパネル 合計6.6kW
  • パネルの方角:南
  • 蓄電池:あり 5.6kWh
  • 電気自動車:LEAF e+ 62kWh 1台所有
  • 電力プラン:東北電力 よりそう+ナイト12
ABOUT ME
lasit
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雪国EVアンバサダー
スノーボード、キャンプを愛する新潟人。移住10年目。 EVのある雪国のアクティブなライフスタイルをお伝えします。
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