【EVバッテリー】寿命は?4年8万kmでどれぐらい走る!?劣化後も予想!
EVを購入するにあたり、多くのかたが気にする「バッテリーの劣化」。新車では400km走ると言われても、5年後には使い物にならなければ困りますよね。
2019年式リーフe+(62kWh)実際の劣化具合について、15万キロをEVを乗り継いで走った経験よりレビューし、一般的なEVの劣化後の展望を私なりに書こうと思います。
まずはマイリーフの状況から
8万km経過リーフe+走行可能距離:約350km
お盆で帰省の予定があったので、その行程を使っての測定です。
猛暑でエアコンは常時ONで、渋滞もあり条件が悪かったです。
しかし、結果は意外に検討し、1割以上を残し、300kmの行程をクリア。
ギリギリ350km走るかどうかというところです。
- 新潟→埼玉までの移動。8割高速道路
- 一部区間60kmほど渋滞のため下道
- 大人1人+子供2人、トランクに荷物満載
- 新潟・群馬間で500mほど高低差あり
- 高速道路はプロパイロット(自動運転)85km指定
- エアコンはフルオート26度設定。スタートから到着までON状態。
- スタート時外気温35度
- 途中充電なし
- タイヤは新車装着時のものECOPIA EP150
エアコンなしの時期であれば、エコ運転で350kmはクリアできると確信しました。
8万kmで約1割のバッテリー容量減
このリーフe+(2019年式 62kWh)ですが、2年落ちのサービスカー(ディーラーの代車用途)として使われていたものを250万円ほどで購入したものです。
購入時点の走行距離は24,000km。新車時の状況は、今となってはわかりませんが、納車時点では満充電時の航続距離は380~390km程度を示していました。
また、車検の代車の時に別のLEAF e+をお借りしたことがあります。そのe+はもっと走行距離の少ない車体で、満充電で400kmを超えていました。
すごくざっくりですが、8万キロ乗ったマイリーフと、代車のちょっと新しいリーフを勘案すると下の表のような航続距離だと予想できます。
実際には、スタッドレスタイヤの着用有無、アクセルワーク、エアコン設定温度などでさらに上下するので、ざっくりな値としてご理解ください。
新車〜1万km時点 | 2〜3万km時点 | 8万km時点 | |
---|---|---|---|
エアコンなし エコ運転 | 390~410km | 380~390km | 350~360km |
冷房あり エコ運転 | 360~390km | 350~370km | 320~340km |
暖房あり エコ運転 | 330~350km | 300~320km | 280~300km |
バッテリーの容量減(劣化)はやばいのか?
「登録から4年、8万km走行で、1割程度のバッテリー容量減」。
順当にいけば、16万kmで2割の容量減・・・これって、どうなんでしょう?
今後の車の寿命も考え、どうなるのかを予想してみました。
日産車をメインに考えると、以下の2つポイントがあります
(ポイント1)バッテリー容量保証について
日産のホームページには以下の記載があります
本保証は、正常な使用条件下において新車登録から8年間または160,000kmまでのどちらか早い方において、アドバンスドドライブアシストディスプレイのリチウムイオンバッテリー容量計が9セグメントを割り込んだ(=8セグメントになった)場合に、修理や部品交換を行い9セグメント以上へ復帰することを保証しています。
https://www.nissan.co.jp/EV/MAINTENANCE/
この「セグメント」という単語が初耳という方も多いと思います。
バッテリー「セグメント」とは?
「セグ」とは画像の白いバーで示されたものです。
オレンジ色の注釈をつけましたが、12ブロックあることがわかると思います。日産車ではバッテリー容量が違っても、12個で表示されていて、満容量を12分割しています。
したがって、100/12=8.33% が「セグ1つ分」の容量の目安です。
この12個あるブロックがバッテリー劣化ごとに欠けていきます。通称、「セグ欠け」と言います。
セグを見れば、その車のバッテリーの満タンの容量がどの程度かわかります。
- 中古のリーフなどで「バッテリー11セグ」と書いてあれば、「バッテリー容量は最大で92.7%(83.34%〜92.7%の間の容量)」 とざっくり逆算ができます。
- 24kWhのリーフでは「バッテリー9セグ」などという中古車も時々見ます。9セグであれば、最大で75%程度の容量です。
ちょうど「iPhoneのバッテリーの状態-最大容量」みたいなものですね。
「8セグ」の状態とは?→初期型なら確かにやばい
「8セグメント」という数字ですが、これは相当劣化している状態です。
古くからのリーフユーザーの投稿を見ていると、
- 10万kmオーバーなど多走行
- 「リーフtoホーム」などV2Hシステム(車から自宅への給電システム)を使用
- 「ZESP2(充電し放題プラン)」時代に急速充電を頻回に行っていた
- そもそも初期EV(24kWh)でバッテリー容量が少なく、充電頻度が多い
「年間2万キロオーバーで、急速充電を毎日1-2回、帰宅後は残った電気を自宅にリーフから給電し、夜間電力を使ってリーフを充電しなおす」
というようなハードな運用スタイルが浮かびます。
残容量が58.35%~66.68%が8セグメントの状態ですが、体感的には新車時の半分程度の走行距離でしょう。
24kWhリーフなら、100kmも厳しいでしょう。
保証の問題点は、「この8セグに至る前の【厳しい時期】」を乗り越えないとバッテリー交換してもらえないということ」でしょうか。
ちなみに、バッテリー交換は「新品バッテリー」以外に、「中古バッテリー」を使われる場合があるようで、「9セグ以上」は保証されるが、「12セグ」に戻してもらえるかは分からないようです。
なんとも腑に落ちない保証で、この点に関しては、初期型のLEAFユーザーからは不評なところです。
(ポイント2)車体のバッテリー容量について
(ポイント1)でバッテリーの「セグ欠け」が相当厳しい状態にならないと修理・交換はしてもらえないということは説明しました。
ただし、私見ですが、「相当厳しい」かどうかは、「そもそものバッテリー容量」の違いで感じ方が大きく違うと思うのです。
- 24kWhリーフでの8セグ→80~90kmしか走れない
- 62kWhリーフe+での8セグ→(多分)200km以上は走れる
バッテリー容量が2.5倍あるので、容易に想像がつくことですが、これが実際の運用上大きな差となります。
EVは充電器が同じ場合、バッテリー容量が大きい方が、一気に大電流を送り込めるので、充電速度が早いです。
また、道中での充電回数が半分以下になります。
8セグ時の運用はどんな感じか?
8セグ時の運用を考えてみました。
わかりやすくするため少し極端な図です。
高速道路を使うとして、遠出する時にはおそらくこのような感じになると思います。
①の車(24kWhリーフの8セグ時)では最初こそ90km走れますが、その後は70kmずつしか走れません。
②の車(62kWhリーフ8セグ時)は最初200km、その後30分の充電ごとに120kmずつ走れます。
①の車は、充電を常に気にしないと進むことができません。
どうしてこのようなことが起こるかというと、「赤い矢印の長さ」がポイントです。
「バッテリー残量が低下した後」から大きな差
EVに限らず、リチウムイオンバッテリーは満充電に近づくにつれて充電スピードが急激に落ちて充電に非常に時間がかかります。
したがって、「充電スピードが早い80%までの部分」を充電して、さっさと出発したほうが、充電器代金も抑えられ、しかも時短になります【超大事】
80%で出発するので、長距離を走行する場合、【「充電してくださいランプ」点灯(車種により7~20%程度)から満タンの80%までの部分】しか繰り返し使えない。ということが起こります。
これが、「赤い矢印の長さ」です。
①の車,私の初代EVである 「e-NV200」の末期がその状態でした。冬場の最大航続距離90km。この状態で真冬に埼玉の実家(約330km)まで帰ったことがあります。
ガソリン車なら4時間で帰ることができる道のりが、8時間以上かかりました。
何よりきつかったのが、充電しないと次に進めない状況で、サービスエリアでの充電待ちで1時間近くロスしたことです。
同乗者の家族ともどもヘトヘトになったのを覚えています。
①の状態の車は、長距離の運用はほぼ不可能と考えたほうがいいです。セカンドカーで日常の足用とであれば問題ないです。
一方で、②の状態の車は、300km程度の行程なら、多くても2回充電すればこなすことができます。これは多くの方にとっても苦痛にはならないでしょう。
- 「劣化したバッテリーでも20~80%部分(赤い矢印)が長ければなんとかなる」
- 20~80%部分をたくさん確保するためには、バッテリーの容量が大事
まとめ
- 8万kmで1割の航続距離減というのは割と普通
- 8年16万kmの日産保証は確かにあるが、万能ではなく、「保証を受けられる直前の9セグ」が最もしんどい
- 保証を受けても、新品のバッテリー状態に戻らないこともある(中古で修理の場合)
- 8~9セグでも使い続けるために、元々のバッテリー容量が大きい車体を買うことが大事
- 上級者や、セカンドカーとしてなら、セグ欠けした安い中古車を買って安く維持するのも手