【EV充電器】(2023年6月~)日産のZESP3が改訂。変更点を解説!
<最終更新日2023年9月21日 e-Mobility Powerの料金プラン、日産車以外のディーラーでの充電方法について追記>
電気自動車(EV)ユーザーにとって、重要な外出先での充電インフラ。
最も多くの充電会員を抱えているであろう日産のZESP3に大きな改訂がありました。
EV歴7年、地球3周分(14万キロ)を走破した私がヘビーユーザーの視点から変更点を説明します。
- 名称はZESP3だが、内容は大きく変更
- まとめ|電気代高騰とEV普及期を見据えての変更か
名称はZESP3のままだが、内容は大きく変更
【変更点1】2023年9月から日産のEVユーザー以外が新規入会不可に
最近はテスラなどのユーザーが日産ディーラーで充電しているのを見ることが増えてきました。
ZESP2までは日産車を購入した人限定で入会できましたが、ZESP3のサービス開始から、他メーカーのユーザーにも入会ができ、それなりの会員数がいるようです。
2023年9月1日からは日産以外の電気自動車ユーザーはZESP3に加入できなくなります。
ただし、今後日産のディーラーで他メーカーのEVが充電できないというわけではありません
解説します
日産以外のEVユーザーが日産ディーラーで充電する方法
街中で数が多くて、トイレも借りることができる日産ディーラーはやはりありがたいです。
他メーカー(テスラ、ヒョンデ、BYDなど)のEVユーザーで使いたい方は以下の方法で充電器が使えます。
順に解説します。
「e-Mobility Powerのアプリ」を使ってゲスト充電する
「e-Mobility Powerのアプリを使ってゲスト充電する」ですが、正直なところ面倒で手間がかかります。
e-MPのゲスト充電については以下の記事をご覧ください
やってみるとスマホの画面で毎回個人情報を入力させられて非常に面倒です。システムも不具合が多く、認証エラーやアプリで先に進めないことも頻繁にあります。
- 急速充電器
- 最大出力90kW以上:77円/分(最低:385円/1~5分)
- 最大出力50kW以下:55円/分(最低:275円/1~5分)
- 普通充電器
- 加盟充電器:8.8円/分(最低:120円/1~15分)
- 提携充電器:充電器ごとに異なる
急速充電器で出力90kW以上は、日産ディーラーにある2口の充電器です
普通充電器の区分にある、加盟充電器なのか、提携充電器なのかはリストを確認しないとわかりません。事業者がJCN(ジャパンチャージネットワーク)の中でも加盟充電器・提携充電器が分かれており、非常にわかりづらいです。
充電器リストこちら→充電器リスト
「e-Mobility Powerの会員」になる
「e-Mobility Powerの会員」ですが、こちらは、充電器にカードをタッチするだけなので、手間が少なく、(アプリに比べれば)不具合も少ないです。
しかし、全く使わなくても月額の会費がかかる上に、プラン内に無料充電がつかず、かなり割高で、しかも短期解約ペナルティもあるので、加入するかどうかは非常に悩ましいところです。
- 手数料・会費関係
- [急速・普通併用プラン]月会費:4180円(税込)
- [普通充電プラン]月会費:1,540円(税込)
- 登録手数料(入会金・カード発行手数料):1,980円(税込)
- カード再発行手数料:1,980円(税込)
- プラン変更手数料(6ヶ月以内):1,980円(税込)
- 解約手数料(6ヶ月以内):1,980円(税込)
- 充電料金
- [急速・普通併用プラン]
- 急速充電:27.5円/分
- 普通充電:3.85円/分
- [普通充電プラン]
- 普通充電:3.85円/分
- [急速・普通併用プラン]
【変更点2】「3年定期契約」への新規申込受付は、2023年5月31日をもって終了
これが最も影響が大きいでしょう。
多くのZESP3ユーザーは3年契約をしていると思います。
途中解約すると違約金がかかるものの、月々1650円(税込)割り引かれます。
改訂前の料金表
プラン名 | プレミアム10 | プレムアム20 | プレミアム40 | シンプル |
月額 | ¥2,750 | ¥4,950 | ¥9,350 | ¥550 |
プラン内 急速充電時間 | 100分 (10分×10回) | 200分 (10分×20回) | 400分 (10分×40回) | なし |
急速充電 追加価格 | ¥385 (10分あたり) | ¥330 (10分あたり) | ¥275 (10分あたり) | ¥500 (10分あたり) |
普通充電 | ¥0(使い放題) | ¥0(使い放題) | ¥0(使い放題) | ¥1.5(1分あたり) |
改訂後の料金表
変更点を赤字で表記しています
プラン名 | プレミアム100 | プレムアム200 | プレミアム400 | シンプル |
月額 | ¥4,400 | ¥6,600 | ¥11,000 | ¥1,100 |
プラン内 急速充電時間 | 100分 (1分単位) | 200分 (1分単位) | 400分 (1分単位) | なし |
急速充電 追加価格 | ¥44 (1分あたり) | ¥38.5 (1分あたり) | ¥27.5 (1分あたり) | ¥99 (1分あたり) |
普通充電 | 600分まで無料 超過分は ¥3.3 (1分あたり) | 600分まで無料 超過分は ¥3.3 (1分あたり) | 600分まで無料 超過分は ¥3.3 (1分あたり) | ¥3.3 (1分あたり) |
【変更点3】課金カウントが1分単位に変更
2019年のZESP3導入時、日産の充電器はZESP2の「充電し放題」の影響で、充電待ちが多く発生していました。
10分単位の課金カウントは、充電器の回転率を上げるために導入したと思われます。
これにより、満タン近くでもずっと充電器に張り付くユーザーはいなくなりました。
また、「LEAF to Home」などのV2Hを活用し、多量の電気を「自宅にお持ち帰り」するユーザーもいなくなりました。
V2Hについての説明→ニチコン「EVパワーステーション」
混雑緩和という点からは、これは効果を奏して現在は日産の充電器の充電待ちはかなり緩和されています。
また、充電マナーもかなり改善しました。
ただし、「10分単位のカウント」というのがわかりづらかったです。
自動で停止する30分を充電すると、「3回」の充電回数を消費します。
また、充電器を停止するタイミングによっては、「10分01秒の停止で20分の充電料金がかかる」といった残念な事態もありました。
これはやはり不評だったのか、1分単位の課金カウントに改訂し、いつ中断しても損を感じづらいように変更になります。
これは歓迎です。
【変更点4】普通充電の充電し放題が終了
普通充電がいずれのプランでも600分がプラン内の無料利用時間となります。
今までは、普通充電は「使い放題」でした。
例えば、「ルートインホテル」などに宿泊、チェックイン時から繋いでおけば翌朝までには、30〜40kWh分充電できました。
今後は600分(10時間)で一旦無料分が終了し、それ以後は使った分だけ課金されるということになります。
頻繁にルートインに泊まる方、イオンに毎日行って普通充電を使っている方などは多少影響があるかもしれません。
【変更点5】「シンプル」プランが値上げ
使っている方はあまりいないかもしれませんが、「シンプルプラン」が550円から1,100円に値上げになります。
「シンプルプラン」は「カードが発行されるだけ」のプランです。
「カードが発行される」ことにどんなメリットがあるかというと、「手順が煩雑で不具合の多い「e-Mobility Powerアプリのビジター充電」をしなくていい」と言うことに尽きます。
このブログでも何度も書いていますが、ビジター充電はアプリを入れたり、一旦会員になる必要があったり、車検証を提出する必要があったりと面倒なサービスだらけです。
わかりやすいのは、ENEOSチャージプラス、エネチェンジと、イオンのWAON認証、セブン&アイのnanaco認証くらいです。
ただし、この「シンプルプラン」ですが、都度の充電費用がめっちゃ高いです。
急速充電が1分99円なので、30分充電すると2,970円です。
急速充電を1回30分すると、月の会費とあわせて、月額プランのプレミアム100に近い金額になります
シンプルプランを選ぶくらいなら、「プレミアム100」に入ると言うのが、いいかもしれません。
【変更点6】ディーラーの充電器での電力を再エネ使用に
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、日産販売店舗等*2にてZESP3を利用して急速充電器でEVを充電いただく場合の電力を100%再生可能エネルギー化いたします。
https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-33edc71f3a72a841a38960aa7304ed8b-230517-02-j
議論の余地はあると思いますが、一応、「EVは環境にやさしい車」として考えると、適切な判断でしょう。
まとめ|電気代高騰とEV普及期を見据えての変更か
電気代が高騰している中で、価格の改訂があるのはやむを得ないことでしょう。
また、私がEVに乗り始めた7年前と比べて明らかに、EVの車両数は増えている印象です。
「イノベーター理論」では普及率が16%を超えると一気に普及するとか。
EVが急成長している中国では16%が近いと言われています。
日本はPHEVを合わせても4%(2023年4月)ですが、負担は重くなってきているのでしょう。
1台で数百万円から1千万円近い急速充電器を設置し、しかも高電圧をバシバシ流し、屋外設置なので、故障も結構多いです。
そんな中で、「充電利用が増えるほど赤字」と言う状況になれば、そもそも充電器を維持してくれている日産さんの経営も立ち行かなくなるわけで、経営判断としては当然なのでしょう。
今後は、ユーザーが「自宅で充電」がより進むことになるでしょう。